A Day in the Life

フィクションの話をしてるんじゃない。現実の話をしているんだ。

このカレーはうちのカレーじゃない

最近手抜きしてカレーを作っている。スーパーで売ってる、あらかじめ材料が下ゆでしてあるセットを使うと、驚くほど時間短縮してカレーが作れる。

手抜きすることはどうでもいい。わたしが気にしてるのはそのカレーがわたしの食べてきたカレーとは似ても似つかないもの、という事実だ。

わたしが食べてきたカレーは玉ねぎをあめ色になるまで炒めて、にんじんはすり下ろして、じゃがいもは入れずに、カレールーは2種類(そのうち一つはゴールデンカレーだったはず)混ぜて作る、そういうカレーだった。うちのカレーはそういうものだと教わった。

それを作るのは今のわたしにとってあまりに時間がかかりすぎる。そんな暇はない。だから手抜きして作ってるんだけど、罪悪感がある。他の料理はどうでもいいんだけど、カレーだけは超えてはならない一線のように思える。

自分ひとりしか食べないし何が申し訳ないのかわからないけど、申し訳ないなあ、これはうちのカレーじゃないんだけどな、と思いながらそのカレーを食べている。